2017年2月17日金曜日

平成二十九年 歳旦帖 第一 (夏木久・網野月を・坂間恒子・渡辺美保・神谷波)




夏木久
水揺らす花は異色の出家かな
初蝶やすでに伴天連追放令
投函せる旅の終りや冬燈
影さえも家引き払ひ福笑ひ
音楽も刺客も辻には誰も居ず
原子炉をながめて卵かけごはん
バス停に影伸び過ぎてまた乗れず




網野月を
天皇誕生日日本一の晴れ男
クリぼっちカボチャ祭は好かったな
あなたのこと気になり出して去年今年
アールデコの門扉門柱淑気満つ
初運転おいでおいでのコンチクショウ
読初や天金濡れて滲み出す
腰蒲団柄のポケモン語り出す



坂間恒子
注連飾おろしてのちを喪に服す
年賀欠礼胡蝶蘭に水を遣る
初詣天狗の下駄の暗がりに




渡辺美保
一陽来復阿蘇より届く晩白柚
くるみ餅三つ花びら餅五つ
また上手く結べぬリボン福寿草



神谷波
あまりにも穏やかすぎるお元日
太古から変はらぬ夕日鏡餅
わが古稀を信じられないごまめかな