2017年8月4日金曜日

平成二十九年 花鳥篇 第六(下坂速穂・岬光世・依光正樹・依光陽子)



下坂速穂(「クンツァイト」「秀」)
目の横に耳の穴あり羽抜鳥
短夜の鳥ほうと啼くかうと啼く
夏蝶の見せては隠す模様かな


岬光世(「クンツァイト」「翡翠」)
石楠花のあはひを登りゆきにけり
応へをる夏鶯や杖に鈴
遠き世の遠きへ帰る朴の花


依光正樹(「クンツァイト」主宰)
町鳥は町に遊んで梅雨曇
藁屋根の深く沈んで鳥の夏
葉の水が揺れてゐるとき蓮の花


依光陽子(「クンツァイト」)
青柿や浅草に来て空を見て
眼涼し羽ばたくものを捉へては
笊菊は笊と育てん縮かな