2017年12月15日金曜日

平成二十九年 秋興帖 第八(小野裕三・小沢麻結・渕上信子・水岩 瞳・青木百舌鳥)



小野裕三(海程・豆の木)
三姉妹めいて総務課竹の春
非売品のホラーマスクや鳥渡る
木の実独楽まことしやかに倒れ合う


小沢麻結
火祭の活溌溌地女の子
会式太鼓芯打つて撥跳ね返り
門々は灯を消し万燈練供養


渕上信子
あつしあつしと言ひながら秋
子規のオペラを観て獺祭忌
へちまへうたんへちまが偉い
寝待の月を見て寝ましたよ
雨か木の実か屋根を打つ音
断捨離すこしして後の雛
菊の宴うからみな福耳


水岩 瞳
新盆や母のおはこの「十三夜」
会えないとなれば会ひたし月見草
水澄むや人に物欲・支配欲・・
香に飽いて木犀花をこぼしをり
棄権する人のてぬかり台風来


青木百舌鳥
品川や秋日を返す鰡の数
我が打ちし舌鼓よな濁酒
ひと株の日にとろけたる菌かな
舞ひあがりうち広がりぬ雁の陣